※咲月武虎と咲月神楽の電話
『お、神楽。久々だな。どした?』
「うん、久しぶりやね。いやなに、元気にしとるかなぁって思って電話したんよ。」
『まあ元気やけど。俺よかそっちのがどうなんや。また無理してぶっ倒れてないやろうな』
「はは、流石にそれはさしてくれんよ。周りがほんま過保護やけん…」
『ならええでないか。…ほんで、今日の仕事はもうええんか?』
「うん。終わったけん問題ないよ。…武虎は今何しょったん?」
『友達んちに飯食いに行くとこ。いつものやつ』
「アリシアくんか。またよろしくって言っといて」
『…ん。……ほんで?』
「……お前さんの親父さん…。一虎さん、ぼちぼち痺れ切らっしょるぞ。どうすんや」
『…なんやアイツ、お前んとこまで押しかけて来よったんか』
「兄貴んとこな。清兄と、あとお前んとこの日詰さんがまあまあゆうて、今はおじさんちょっと落ち着いとるけど…。」
『そっか。ほんますまんな。清志郎らにはあとで電話入れとくわ』
「うん。…なあ武虎」
『おー』
「下手に帰国せんほうがええよ?おじさんもやけど…、信者さんらがえらいお前さんに入れ上げよるけん、ほんまにえらいことになるで」
『せやな。気ィ付けとく。ま、仮に帰国しても、本家には近付かんようにしょぉるけん、今んとこは大丈夫やろ』
「うん。…なんか困ったことあったらいつでも連絡して。力になるけんね」
『ん、サンキュ』
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「……さーて、どうしたもんかねぇ」
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・咲月武虎(さつき たけとら)…22歳。本家の長男。UKの大学院生。実家に嫌気が差して渡英中。
・咲月神楽(さつき かぐら)…23歳。分家の三男。大学院生。病弱で、おそらくもう長くはない。
・咲月清志郎(さつき きよしろう)…29歳。分家の長男。外科医。近眼(眼鏡)で極度のブラコン。
・日詰春彦(ひづめ はるひこ)…本家において武虎の世話役を務めていた人物。本家の中で、数少ない武虎の味方。
・咲月一虎(さつき かずとら)…本家の現当主。武虎の実父。厳格な人物。武虎を本家へ連れ戻したい。